「味あわせる」「味わわせる」
「味わう」の使役の形は何でしょう。
例題1:ここでしかできない体験を味○○せてもらった
例題2:おまえにも同じ痛みを味○○せてやる!
「使役」とは、ある行為を他人に行わせること。「~させる」ことです。
○○に入るのは、「味わう」だから「味わわせる」でしょうか。「味あわせる」とも聞いたことがあります。書いてある言葉でも見たことがあるかも。
「わ」が二つって変。急に「あ」が出るのも変だから「味わせる」だったかな・・・。
正解は・・・
文法的には「味わわせる」が正
「味わう」の活用は、「ワ行五段活用」。
味わわない、味わいます、味わう、味わう時、味わえば、味わえ!
という具合に、「味わ・う」の「う」が変化していきます。
よって「味あわせる」を原形に戻すと「味あう」になるので、文法的には間違っているのが分かるかと思いますが、「わ」が2つ続いて言いにくいためか、「味あう」と書く人はいないけれど「味あわせる」「味あわない」は、かなりの頻度でお見かけします。
書きコトバと発声コトバの違い
例えば、「わたしは、おとうさんへ伝えました。」を言葉にするとき。
「ワタシワ、オトーサンエ ツタエマシタ。」と発声しますが、この通り文章で打ち込まれてきたら多くの人が違和感を感じますよね。
(ロボットや宇宙人のセリフ書きなら、読む雰囲気がばっちり伝わってきますが)
発生する言葉は、常に変化していると感じます。
文法的には間違っている言葉でも、例えば、その人の個性を表現する、言い回しのしやすさ等で、活字になっている例もあります。
だけど、書きコトバは、まだまだ文法にうるさいところがあって、
「見れてよかった」⇒「見られてよかった」(ラ抜き言葉)
「友達が話してる」⇒「友達が話している」(イ抜き言葉)
「歌わさせていただきます」⇒「歌わせていただきます」(サ入れ言葉)
などは、修正されます。
こうしたブログやSNSなど、多くの人が気軽に言葉を発信するようになって、書きコトバも随分自由になったと思いますが、書かれた文章、特に残そうと思って書かれた文は、長期にわたり保存されますので
やはり「味あわせる」と「味わわせる」、”書く”のであれば、「味わわせる」と書くのがよいかなと思います。